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『産んだら産後ケア』を当たり前に

こんにちは!助産師のmaniです^^

今日は、私の勤務先のメイン業務である【産後ケア】についてお話しします!

産後ケアって、どんなものかご存じでしょうか?

産後ケア事業は、分娩施設退院後から一定の期間、病院、診療所、助産所、その他自治体が設置する場所(こども家庭センター、保健センター等)等又は対象者の居宅において、助産師等の看護職が中心となり、母子に対して、母親の身体的回復と心理的な安定を促進するとともに、母親自身がセルフケア能力を育み、母子の愛着形成を促し、母子とその家族が健やかな育児ができるよう支援することを目的とする。

こども家庭庁「産後ケア事業ガイドライン」より

難しく書いてありますが、まとめると、出産後退院してからのママと赤ちゃんが、心身ともに健やかに過ごせるように、そして、家族で協力して子育てしていく力を育てるためのケアという感じでしょうか。

この事業の中心となるのは、私たち助産師を中心とした看護職です。
私も現在、助産所兼産後ケアセンターで勤務し、毎日産後のママと赤ちゃんのケアに従事しています。

現在の施設で働くようになって1年ちょっと経ちましたが、それまでは分娩を取り扱う施設に勤務していましたので、産後5日目頃にはママは赤ちゃんと一緒に退院し、その後のママたちがどんな風に過ごしているのかは知りませんでした。

退院後、自宅での子育てって本当に孤独で不安ですよね。

以前も、産後1か月健診ではお会いしましたが、外来の限られた時間の中では、自宅で過ごしている間のママたちの苦悩はちゃんと把握しきれていなかったなと、今になって思います。

特に、授乳に関する悩み

母乳にしろミルクにしろ、赤ちゃんにとって丁度良い量を与えるって本当に難しい。
そもそも慣れないうちは、赤ちゃんの口に含ませることすら難しい。
手探りで頑張っているうちに、

・乳首が痛くなる…
・寝不足で心身ともにしんどい…
・母乳が出ていない気がして赤ちゃんに申し訳ない…

結果、1か月健診に来る頃には「ミルクにしちゃいました」となることも。

ミルク育児を否定する気はありませんが、本当は母乳をあげたかった人が、適切な時期に適切なケアが受けられなかったことで母乳育児を諦めてしまうというのは、あまりに残念です。

こんな状況を救うことができるのが、【産後ケア】なのです。

😐「じゃあ、授乳がうまくいかないなと思ったら産後ケアを使えばいいってこと?」

と言われると、それも否。

なぜなら、何か不具合が起こってからでは、助けてーと手をあげる事すら難しくなるから。

出産を経験した人ならわかると思うのですが、産後って本当に忙しくて、疲れていて、脳みそが正常に機能していない感覚です!
出産で受けた体のダメージ、ホルモンバランスが崩れたことで豆腐メンタルに、そして連続して2時間寝れれば良い方という寝不足の日々…
そんな時に、授乳がうまくいかない、赤ちゃんの体重増えてるか不安など、問題に直面した時に、

「よし!産後ケアにいってみるか!利用したいって連絡してみよう!」

というエネルギー、湧いてこなくないですか?

出生届、保険証の手配、職場への連絡といった、必要最低限の手続きで精一杯。
それに加えて、電話で予約?どこに連絡すればいいんだ?申請書の提出しなきゃいけないの?

しんどいですよね…

だからこそ!私がオススメしたいのは『妊娠中に産後ケアを利用することを決めておくこと』です!

具体的には、
・産後ケアを利用するために必要な申請・手続きは妊娠中に済ませておく。
・自宅の近くで産後ケアを利用できる施設の確認をしておく。
・施設に連絡して、利用したい旨を伝えておく(一度施設に行ってみるとなお良し)

【産後ケア】と聞いて、何かに困っている人が使うもの、と感じる方もいるかもしれませんが、ちょっと休憩がてら、赤ちゃんのお世話ってこれで大丈夫か確認してもらおう、という感覚で利用するのが良いと思います。
退院して1週間くらいしたら、1回助産師さんに会いに行こうかな!くらいがオススメですね^^

🤔「でも、もしかしたら特に困ることなく上手くやれるかもしれないし…」

って思いましたか?

安心してください。絶対に疲れます。笑

「寝る」「食べる」「お風呂に入る」「トイレに行く」という、本来に好きな時にできていたはずのことが、思うようにできなくなるのが産後。そんな生活、疲労ゼロなはずがありません!

産後ケアに来ている間は、いつも背負っている重荷を少し私たちに預けてリフレッシュしていただけますよ^^

 

【産んだら産後ケア】を当たり前に。
そのためには、妊婦さんへの情報提供はもちろんですが、出産に関わる病院スタッフさん、市町村の保健師さんなど、母子保健に関わる全ての支援者の皆さんに、もっと産後ケアを知ってもらいたいなと思っています。

産後ケアの宣伝、もっともっと頑張ります!!!

最後まで読んでくださりありがとうございました^^

  • この記事を書いた人

mani

助産師歴14年、2児の母 『助産師えりこ』として、後悔の無い産後のための情報と 自身の日常を発信中

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